小学生の算数が苦手なときは?自宅学習の方法と続ける工夫
算数が苦手な子に、たくさん問題を解かせても成果が出るとは限りません。
大切なのは、つまずきの原因を見つけ、その子に合った方法を続けること。
数学塾で指導している立場から、自宅でできる工夫と声かけを紹介します。

小学生の算数を自宅で効率よく学習する3つの工夫
テストや宿題から間違える原因を見つける
自宅学習を始める前に、子どもが「どこで、なぜ間違えているのか」を確認しましょう。
原因が分からないまま問題を増やしても、同じ間違いをくり返しやすいからです。
間違いは、主に次のように分けられます。
- 計算の方法を理解していない
- 問題文を正しく読めていない
- 式は合っているが計算を間違えた
- 単位や答えを書き忘れた
文章問題の答えが違っていても、式が合っていれば文章の意味は理解できています。
この場合、必要なのは文章問題ではなく計算の練習でしょう。
私の教室でも、単なる計算ミスに見えて、実は小数点の位置を理解できていなかったことがあります。
何度も同じ間違いをするなら、うっかりミスと決めつけず、理解できているかを確かめてください。
子どもに合った教材を1冊選ぶ
自宅学習では、子どもが7~8割ほど自力で解ける教材を1冊選びましょう。
難しい問題集を何冊も用意しても、使い切れなければ力にはなりません。
ほとんどの問題で手が止まるなら、今の子どもには難しすぎます。
前の学年の教材に戻っても問題ありません。
教材は、次の点を確認して選びましょう。
- 基本問題が中心になっている
- 例題の説明が分かりやすい
- 1ページの問題数が多すぎない
- 答えだけでなく解き方も書かれている
学習を嫌がる子には、まず計算5問や半ページから始めます。
やらない2ページより、毎日続けられる半ページのほうが効果的です。
解き直しまでを学習にする
問題は、解いただけでは十分に身につきません。
間違えた問題を、自分で解けるようにするところまでが学習です。
次の順番で進めるとよいでしょう。
- 決めた問題を解く
- その日のうちに丸をつける
- 間違えた原因を確認する
- 何も見ずにもう一度解く
答えを赤で写すだけでは、解き直しになりません。
解説を確認した後はいったん閉じ、自力で解かせます。
解けなかった問題には印をつけ、翌日や数日後に再挑戦してください。
少し時間を空けても解ければ、学習内容が身についたと考えられるでしょう。
算数の苦手に合わせて自宅学習の方法を変えよう
計算ミスが多い子は正確さを優先する
計算ミスが多い子には、速く解くことより、正しい手順で解くことを優先させましょう。
急ぐと途中の式を省いたり、数字を乱雑に書いたりしやすくなります。
計算では、次のような間違いがよく見られます。
- くり上がりやくり下がりの書き忘れ
- 小数点の位置の間違い
- 分数の約分忘れ
- 問題の数字の写し間違い
問題数を減らしてでも、途中の式や筆算をていねいに書かせます。
20問を急いで解くより、5問を正確に解く練習のほうがよい場合もあります。
「また間違えたの?」ではなく、「どこまでは合っているかな」と聞いてみてください。
直す場所が一つだと分かれば、子どもも落ち着いて取り組めます。
文章問題や図形は目に見える形にする
文章問題や図形が苦手な子には、問題の内容を図や物で見えるようにする工夫が必要です。
低学年なら、おはじき、硬貨、時計などが使えます。
高学年では、買い物の割引、料理の分量、移動にかかる時間などを題材にするとよいでしょう。
文章問題で、すぐに「何算なの?」と聞くのはおすすめしません。
数字の近くにある言葉だけを見て、足し算やかけ算を決めるようになるからです。
代わりに、次のように聞いてみましょう。
- 何が分かっている?
- 何を求める問題かな?
- 図にするとどうなる?
- 答えは元の数より大きくなる?小さくなる?
図形も、紙を折ったり空き箱を開いたりすると、教科書の図だけを見るより理解しやすくなります。
分からなくなった単元まで戻る
算数が苦手な子ほど、つまずいた単元まで戻る必要があります。
算数は、前に習った内容を使って新しい問題を解く教科だからです。
小学6年生で分数のわり算に苦戦している場合、5年生の分数や、それ以前のわり算が分かっていないこともあります。
この状態で今の単元だけをくり返しても、なかなか成果は出ません。
前の学年に戻ることは、後退ではありません。
今の問題を理解するために必要な復習です。
子どもが嫌がるときは、「できないから戻る」のではなく、「今の問題を解きやすくするために、必要なところだけ確認しよう」と伝えましょう。
算数の自宅学習を習慣化する環境づくりと声かけ
時間と場所を決めて少量から始める
家庭学習を続けるには、やる気を待つより、始めやすい仕組みを作るほうが効果的です。
「おやつを食べたら食卓で計算5問」「夕食の前に10分」のように、始める時間と場所を決めましょう。
教材と筆記用具も同じ場所に置けば、すぐに始められます。
毎日できなくても、次の日に倍の量をさせる必要はありません。
学習を休んだ日があっても、翌日からいつもの量で再開しましょう。
一度も休まないことより、休んでも戻れる仕組みを作ることが大切です。
親は教えすぎず、考えを引き出す
保護者の役割は、すぐに答えを教えることではありません。
子どもがどこまで分かっているかを確認し、考えるきっかけを作ることです。
「どうして分からないの?」ではなく、「どこまでは分かる?」「最初に何をすればよさそう?」と聞いてみてください。教
科書から似た問題を探させる方法もあります。
保護者が無理に教える必要はありません。
親が習った方法と学校の教え方が違い、子どもが混乱する場合もあります。
説明が難しいときは、分からない問題に印をつけ、学校や塾で質問できるようにしておきましょう。
結果より取り組んだ過程を認める
家庭学習を習慣にするには、点数だけでなく、子どもの行動を具体的に認めることが大切です。
「100点ですごいね」だけでなく、「自分から始められたね」「間違いを最後まで直せたね」と伝えましょう。
何を認められたのかが分かれば、その行動をくり返しやすくなります。
ただし、何でも大げさにほめる必要はありません。
できたことを、そのまま短い言葉で伝えるだけで十分です。
まとめ
算数の自宅学習では、量よりも子どもに合った問題を正しく続けることが大切です。
つまずきを見つけ、少量から始めましょう。
保護者は教えすぎず、取り組んだ過程を認めてください。
毎日の小さな積み重ねが、算数の苦手を克服する力になります。


