「間違いを消さない」だけで成績アップ?中学生の数学ノートに必要なこと
「この答え、違ってたから消しちゃおう」
「汚いノートってイヤだし……」
中学生のノートを見ていると、よくあるこの行動。
つい、間違えた部分をきれいに消して、何もなかったように書き直したくなる気持ち、わかります。
でも実は、その「間違いの跡を残すこと」こそが、数学を伸ばすヒントになるんです。
今回は、数学の問題を解くときに「間違えた計算や途中式を消さない方が良い」とされる理由について、具体的にご紹介していきます。

「ミスは消すもの」という習慣がもったいない
学校でも塾でも、「見やすいノートを作りましょう」と指導されることがあります。
その結果、「きれいに書く」ことが目的になってしまい、間違った計算はすぐに消す、ぐしゃぐしゃのノートはNGという意識が生まれがちです。
でも、勉強の目的は「きれいなノートを作ること」ではなく、「できなかったことを、できるようにすること」のはずです。
ミスの跡を残すことでしか見えない「自分の弱点」があるのです。
間違いを消さないメリット
1. どこで間違えたのかがわかる
解き直しや復習をするとき、間違えた計算が残っていれば、どの段階でミスしたのかがはっきりします。
たとえば、
- 式の立て方が間違っていた
- 分配法則の適用ミス
- 符号ミス
- 小数や分数の計算間違い
など、「自分のミスのパターン」が見えてくるのです。
一方、間違えた部分を消して書き直してしまうと、何がどうズレたのかを後から確認することができません。
これでは本当の意味での「反省」や「改善」ができないのです。
2. 復習がしやすくなる
テスト前や模試の復習では、「なぜ間違えたのか」に注目することが非常に大切です。
残されたミスの痕跡は、まさにそのときの思考の記録です。
答えの書き直しだけではなく、その前に「どう考えたか」「何を勘違いしたか」まで戻って分析できることが、数学の力を伸ばすカギになります。
3. 思考の流れをたどれる
数学は「考え方」を評価する教科です。
特に高校入試や記述式の問題では、「過程も採点の対象」となることもあります。
ノートに書いた計算や式は、自分がどう考えたかの「足跡」です。
それを消してしまうのは、自分の足取りを消してしまうようなものです。
あとから見直すことで、「あ、ここで変な式になってる」「この分数の約分を忘れてる」といった気づきにつながります。
消してしまうとどうなるか?
逆に、間違いを全部消してしまうと、こんなデメリットが生じます。
- 自分の間違い方に気づけず、同じミスを繰り返す
- 「なんで間違えたのか」すら分からない
- 教える側(先生や塾講師)が指導しにくくなる
- 解き直しの際、再び一から解かないといけなくなる
- ノートが「成果の記録」だけになってしまい、学びのプロセスが消える
これでは、「ノート=学びの記録」ではなく、「正解だけを残す賞状」のようなものになってしまいます。
消す代わりにどうすればいい?
「間違いを残すのはいいこと」とは言っても、ノートがぐちゃぐちゃだと見返しにくいのも事実です。
そんなときは、「上手に間違いを残す工夫」をしてみましょう。
■ 二重線で消す
消しゴムで完全に消すのではなく、間違った部分に二重線を引いて消す方法がおすすめです。
元の計算が見えるままになるので、あとで見返しができます。
■ 赤ペンでコメントをつける
「ここで符号ミス」「ここ、かけ算を忘れてる」といった気づきを赤でメモしておくと、復習がさらに効果的になります。
■ ミスノートを作る
普段の問題集や宿題では消さずに残し、別のノートに「ミス集」としてまとめるのもおすすめです。
「また同じことしてる!」と自分で気づけるようになります。
保護者としての声かけの工夫
お子さんが間違えた計算をすぐに消してしまうとき、親としてどう関わればよいのでしょうか。
ただ「消さないで」と伝えるだけでは、かえって反発を招くこともあります。
そこで、お子さんの心に届きやすい声かけのポイントをいくつかご紹介します。
■ 「失敗しても大丈夫」と安心させる
「間違えるのは悪いことじゃないよ。それを残してこそ、次につながるんだよ」
このように、ミスを前向きに捉える姿勢を親が見せることで、お子さんも安心して間違いを残すことができるようになります。
■ 「きれいじゃなくていいよ」と認める
「ノートはきれいに書くためじゃなくて、勉強のために使うものなんだよ」
「字を丁寧に」と言いたくなる気持ちは自然ですが、まずは思考の痕跡を残すことの大切さを伝えてあげてください。
■ 「どこで間違えたか、一緒に考えよう」と寄り添う
消す前に「どこでミスしちゃったかな?」「ここでひっかかっちゃった?」と一緒に見直すスタンスをとることで、自然と学びが深まります。
■ 「どうすれば防げたと思う?」と自分で考えさせる
間違いは直すだけでなく、再発防止策を考えるチャンスでもあります。
親から「どうしたら次はうまくいくかな?」と問いかけるだけでも、お子さんの学びは確実に深まります。
このように、保護者としての関わり方ひとつで、お子さんの「間違い」との向き合い方は大きく変わります。
「消さない=失敗を受け入れる勇気」として認めてあげることが、長い目で見た学力向上につながります。
成績が上がる生徒は「失敗との向き合い方」が違う
実際に、成績が上がっていく中学生の多くは、次のような特徴があります。
- 自分の間違いを素直に受け止める
- 間違えたことを消さずに、どう直せばよかったかを考える
- ミスから学ぶ視点を持っている
一方、なかなか成績が伸びない生徒は、「正解だけを残したがる」「間違いをすぐ消す」「どこがダメだったかを考えない」といった傾向が強いこともあります。
「間違い=悪いこと」ではなく、「間違い=ヒント」という意識への転換が、学習においては非常に大切なのです。
まとめ:「間違いノート」こそが本当の勉強ノート
数学の勉強は、「わかる」から「できる」に変わるまでに時間がかかります。
その過程で出てくる間違いこそ、自分の思考のクセや弱点を教えてくれる最高の先生です。
消すことできれいに整えるのではなく、残すことで深く学ぶ。
そんな姿勢が、数学の力を本物にしていくのだと思います。


