文章題が苦手な中学生に、生成AIをどう使う?保護者のための検証記事

最近、「生成AIって勉強に使っていいんですか?」
そんな質問を、保護者の方からよくいただくようになりました。

答えは 「使い方次第で、とても心強い学習サポーターになる」 です。
ただし、文章題に関しては
「答えを教えてもらうだけ」になってしまうと、かえって力がつかないのも事実です。

では、生成AIは文章題の学習に どのように活用すればよいのでしょうか

今回は、中学1年生・3年生の方程式を使う文章題を例に、

  • AIがどんな手順で問題を整理するのか
  • 子どもがどこを学び取るべきなのか
  • 家庭学習で保護者がどう関わればよいのか

という視点から検証してみました。

「文章題が苦手」「途中式が書けない」
そんなお子さんにこそ、ヒントになる内容です。

中1の方程式文章題を解いてもらったら

個数と代金の問題

まず、次のような文章題を、AI(チャットGPT)に問いてもらいました。

1個80円のみかんと1個130円のりんごを合わせて10個買い、代金の合計を1000円にしたい。
みかんとりんごをそれぞれ何個買えばよいか。

チャットGPTから帰ってきた答えは以下のとおりです。
(改行など変更していますが文章はそのままです)


では、中学1年生で学ぶ方程式の考え方で、順を追って解いていきます。

① 文字を使って表す

みかんの個数を (x) 個 とします。
すると、全部で10個買うので、

りんごの個数は (10 - x) 個 になります。

② 代金を式にする

みかん:1個80円 → (80x) 円
りんご:1個130円 → (130(10 - x)) 円

合計金額が1000円なので、次の方程式ができます。

[80x + 130(10 - x) = 1000]

③ 方程式を解く

まずカッコを外します。
[80x + 1300 - 130x = 1000]

同類項をまとめます。
[-50x + 1300 = 1000]

両辺から1300を引きます。
[-50x = -300]

両辺を−50で割ります。
[x = 6]

④ 答えを確認する

  • みかん:6個
  • りんご:(10 - 6 = 4) 個

金額を確かめると、

みかん:6個 × 80円 = 480円
りんご:4個 × 130円 = 520円

合計
[480 + 520 = 1000]

条件にぴったり合っています。

✅ 答え

みかんを6個、りんごを4個買えばよい。


「移項」ではなく「両辺から1300を引く」という表現になってはいますが、中学の方程式文章題の解き方としては問題ない答えが帰ってきています。

分配と個数・枚数の問題

続いて解いてもらったのは次の問題です。

折り紙を何人かの子供に分けるのに、1人に5枚ずつ分けようとすると10枚足りない。
また、1人に3枚ずつ分けると22枚余る。
子供の人数と折り紙の枚数をそれぞれ求めなさい。

チャットGPTの返信は以下のとおりです。


では、中学1年生で学ぶ方程式を使って、順に整理しながら解いていきましょう。

① 文字を置く

子供の人数を x 人 とします。

② 条件を式に表す

条件①

1人に5枚ずつ分けようとすると10枚足りない
→ 必要な枚数は 5x 枚
→ 実際の折り紙はそれより10枚少ない

折り紙の枚数=5x−10

条件②

1人に3枚ずつ分けると22枚余る
→ 使う枚数は 3x
→ 22枚余るので

折り紙の枚数=3x+22

③ 方程式を立てる

どちらも同じ「折り紙の枚数」を表しているので、 5x−10=3x+22

④ 方程式を解く

5x−3x=22+10
2x=32
x=16

⑤ 折り紙の枚数を求める

人数 x=16をどちらかの式に代入します。
5x−10=5×16−10=80−10=70

⑥ 確認

  • 1人5枚ずつ
    16人 × 5枚 = 80枚 → 10枚足りない(70枚)
  • 1人3枚ずつ
    16人 × 3枚 = 48枚 → 22枚余る(70枚)

条件に合っています。

✅ 答え

  • 子供の人数:16人
  • 折り紙の枚数:70枚

さっきとは途中計算の仕方が少し違うものの、中1の方程式の解き方としては問題ないです。

速さの問題

続いて解いてもらったのはこれです。

弟が歩いて家を出発してから15分後に、兄は自転車で弟を追いかけた。
弟と兄の速さをそれぞれ毎分60m、毎分210mとすると、兄は家を出発してから何分後に弟に追いつくか。

これまたあるあるな文章問題です。

ではチャットGPTの返信は以下です。


中学1年生で学ぶ方程式を使って解きます。

① 文字を置く
兄が家を出発してから弟に追いつくまでの時間を x 分とする。

② それぞれの進んだ道のりを表す

弟は兄より15分早く出発しているので、歩いた時間は (x+15) 分。
速さは毎分60m。

弟の道のり
60 × (x+15)

兄は自転車で x 分進む。
速さは毎分210m。

兄の道のり
210 × x

③ 方程式を立てる
追いつくとき、2人の進んだ道のりは等しい。

210x = 60(x+15)

④ 方程式を解く

210x = 60x + 900
210x − 60x = 900
150x = 900
x = 6

⑤ 確認

兄:6分 × 210m = 1260m
弟:(6+15)分 × 60m = 1260m

同じ距離なので条件に合っている。

答え
兄は、家を出発してから6分後に弟に追いつく。


こちらも考え方、解き方に問題はありません。

試してみたところ、中学1年の文章題についてはきちんと解き方を説明してくれていて、解法も問題ないようです。

二次方程式はどうなるか試してみた

では、中学3年で習う二次方程式の文章題はどうなるでしょうか。

辺の長さと面積の問題

次の問題を解いてもらいました。

正方形の縦を9cm伸ばし、横を1㎝縮めてできた長方形の面積は、もとの正方形の面積の2倍より42㎝2小さくなった。 
もとの正方形の1辺の長さを求めよ。

以下、チャットGPTの回答です。


中学3年生で学ぶ二次方程式を使って解く。

もとの正方形の1辺を x cm とする。

もとの正方形の面積

正方形の縦を9cm伸ばし、横を1cm縮めた長方形は
縦:x+9
横:x−1

長方形の面積
(x+9)(x−1)

条件より
「長方形の面積は、もとの正方形の面積の2倍より42cm²小さい」

よって
(x+9)(x−1) = 2x² − 42

左辺を展開する。
x²+8x−9 = 2x²−42

移項して整理する。
0 = 2x²−42 − (x²+8x−9)
0 = x²−8x−33

二次方程式
x²−8x−33=0

因数分解すると
(x−11)(x+3)=0

よって
x=11,x=−3

長さなので −3 は不適。

答え
もとの正方形の1辺の長さは 11cm


移項のときに何故か全部右辺に持っていくという変な癖はありましたが、これも解き方に問題はありませんでした。

図形の問題

次に、問題の画像をアップロードしたうえで、文章題を解いてもらいました。

△ABCはBC=12㎝、AC=6㎝、∠BCA=90°の直角三角形である。
点Pは頂点Bを出発して毎秒2㎝でCまで進む。
同時に点Qは頂点Cを出発して毎秒1㎝でAまで進む。
△PCQの面積が9㎝2になるのは出発から何秒後か。

回答はこんなふうでした。


t秒後とします(中3の二次方程式で処理します)。

  1. 長さをtで表す
    BC=12cm、点PはBから毎秒2cmで進むので
    BP = 2t
    したがって
    PC = 12 − 2t

AC=6cm、点QはCから毎秒1cmで進むので
CQ = t

  1. 面積の式を立てる
    ∠BCA=90°なので、PCはBC上、CQはCA上で直角。
    よって△PCQはCで直角の三角形になり、

△PCQの面積 = (1/2) × PC × CQ
= (1/2) × (12 − 2t) × t

これが9cm^2になるので

(1/2)(12 − 2t)t = 9

  1. 二次方程式を解く
    (12 − 2t)t = 18
    12t − 2t^2 = 18
    2t^2 − 12t + 18 = 0
    両辺を2で割ると
    t^2 − 6t + 9 = 0

因数分解して
(t − 3)^2 = 0

よって
t = 3

  1. 確認(範囲)
    PがCに着くのは 12÷2=6秒後、QがAに着くのも 6÷1=6秒後。
    t=3 は範囲内でOK。

答え:出発から3秒後


テキスト形式なので仕方ないのですが、分数の表現が1/2となっています。

ただこちらも解き方としては全く問題ありません。

まとめ

今回の検証で見えてきたのは、
生成AIは文章題の“考え方のお手本”として使うと非常に有効だということです。

  • まず求めるものを文字で置く
  • 条件を一つずつ式に直す
  • なぜその式になるのかを言葉で説明する
  • 最後に答えが条件に合っているか確認する

AIは、この流れを省略せずに整理して見せてくれます
ここが、家庭学習で大きな助けになるポイントです。

一方で、
「答えだけを写す」
「途中を読まずに結果だけ見る」
使い方を間違えると、文章題ができるようにはなりません

保護者の方にぜひ意識していただきたいのは、
AIを“解答係”ではなく、“説明役・質問相手”として使うことです。

「この式はどういう意味?」
「なぜ二次方程式になるの?」
そんな問いかけを、AIと一緒に考える時間こそが、学力を伸ばします。

生成AIは、子どもの代わりに考える存在ではありません。
子どもが考えるための“支え”になる道具です。

上手に付き合えば、文章題は
「わからないもの」から「筋道を追えば解けるもの」へと変わっていきます。
ぜひ、ご家庭でも一歩ずつ取り入れてみてください。